不動産競売にかかる諸経費
競売で不動産の落札に成功すると、市場価格よりも割安な価格で不動産を手に入れることが可能です。ただ、競売の利用にあたっては一般的な不動産売買にはない経費がかかる場合があります。
経費は現金で支払う必要があるので前もって用意しておく必要があります。
入札前に必要なお金
競売に参加するためには保証金を裁判所に納めなければなりません。保証金は売却基準価額の2割となっています。売却基準価額は地方裁判所で競売の資料を閲覧すると調べることができます。
保証金がなければ競売に参加できないのでこのお金は必ず用意しましょう。物件の売却基準価額によっては保証金がかなり高額になります。
競売への参加を考えている人は日頃から保証金相当額のお金を揃えておいたほうが良いかもしれません。
なお、落札できなかった時場合、保証金は全額返ってきます。
落札できた場合は、落札価額から保証金を引いた額を裁判所に納付します。このお金を納付しないと保証金は全額没収されてしまいます。
このように競売で不動産を取得するためにはまとまった経費が必要です。
落札後に必要なお金
落札した後は、落札価額のほかに不動産の所有権移転登記を行う費用もかかります。この費用(登録免許税)は不動産評価額の2パーセントです。一般的な不動産売買でも登録免許税は必要ですが、土地の軽減措置が
ないため、競売の方が若干高めになります。その他法務局への郵送費なども数千円かかります。
但し、購入金額が全額現金の場合は司法書士に登記を依頼する必要がないため、その経費分は安く移転登記ができます。
また、落札価額を全額現金で用意できない場合は住宅ローンを利用するという方法もあります。
ただ、多くの金融機関は競売の場合は住宅ローンの契約を嫌がる傾向があります。特に都市銀行では融資は難しいかもしれません。
というのも、競売は必ず落札できるものではないのと、事務手続きの対応が通常とは異なる場合があるので、消極的な金融機関が多いのです。
ただ、住宅ローンの契約が全くできないわけではないので、利用を検討している人は地方銀行や信用金庫など、身近な金融機関に相談してみましょう。
所有権移転後に必要な経費
競売の場合は不動産の所有権移転後にも経費がかかることがあります。
まず、不動産に占有者がいた場合は明け渡しを求めることになります。
占有者が退去しない時は落札価額の納付から6ヶ月以内であれば建物の引き渡し命令を裁判所に申し立てます。相手方1人につき500円の費用がかかります。
さらに強制執行をするためには執行文が必須です。この執行文の付与に300円払わなければなりません。さらに、一般的に強制執行の断行(荷物の運び出し)には50万円〜200万円ほどの費用がかかりますので注意が必要です。
なお、残代金の納付から6ヶ月が過ぎているときは通常の建物明け渡し訴訟の費用が必要です。
また、占有者はいなくても室内に物が残されていることがあります。この場合は勝手に物を処分することは許されません。不動産の所有権は移転しても残された物の所有権は前の所有者のままだからです。
こんな時も裁判所に建物の引き渡し命令の申し立てをしましょう。